研究代表者 筒井 裕之(九州大学循環器内科、心不全学会理事長)
近年、わが国では急速に進行する高齢化、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の増加、さらに急性冠症候群の急性期治療成績の向上とともに、心不全患者が増加しています。2030年には心不全患者は130万人に上ると推定され、多くが増悪による再入院を繰り返すことから、「心不全パンデミック」として医療上のみならず医療経済上も喫緊の課題ととらえられています。
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」の「心不全の発症・重症化高精度予測とそれに基づく最適な治療戦略の開発」として、日本循環器学会、日本心不全学会のサポートのもと取り組むものです。
現在、わが国の全国規模の心不全診療の実態及びその適切性を示すデータを創出することを目的とした多施設共同後向き観察研究である『JROADHF研究』が進行しております。
しかし、増加する心不全への対策として高精度な心不全発症・重症化予測の実現と、効果的かつ効率的な予防・治療法の開発・確立・普及が求められています。
本研究はJROADHF研究を発展させた『JROADHF-NEXT研究』として、2019年4月1日から2020年9月30日の間に全国の循環器診療施設における心不全患者を前向きに登録し、新たなデータベースを構築し、臨床情報(DPC情報を含む)やバイオマーカを用いた心不全発症・重症化の新たな予測指標・リスク層別化法を開発するとともに、その有効性を検証します。
多施設共同前向きコホート研究(日本心不全学会の後援)
5000 例
登録期間 | 各施設での倫理委員会承認日〜2021年4月30日 (5,000症例収集された場合は早期に終了する) |
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観察期間 | 2020年4月〜2023年9月30日 (最終症例の2年後の予後調査終了まで) |
研究期間 | IRB承認日〜2024年3月 |
参加施設にて対象となる心不全入院患者に同意をとり、医療情報、予後についてEDCに入力する。また、DPC情報については登録後に医療機関においてデータ抽出を行う。