参加施設に入院された患者様へ

研究参加施設を受診された患者様へのお知らせ

研究名:
心不全の発症・重症化の高精度予測とそれに基づく最適な治療法の開発のための心不全レジストリ

1. 臨床研究について

 JROADHF-NEXT研究班では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院循環器内科では、現在心不全の患者さんを対象として、発症・重症化の高精度予測とそれに基づく最適な治療戦略の開発に関する「臨床研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年3月31日までです。

2. 研究の目的や意義について

 心不全という病気は心機能障害により引き起こされる疾患です。原因は高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、心筋症などと言われており、主な症状としては、息切れ、全身倦怠感などが現れます。
 心不全の治療法としては、主に薬物治療や非薬物治療を用いられますが、予後がよくないと言われています。心不全の予防や治療法の開発のためには、心不全の発症や重症化を予測することが重要です。しかしながら、我が国の心不全患者さんの心不全の発症や重症化の予測法については開発されていません。
 そこで、今回循環器内科では、心不全の発症や重症化の予測法を開発することを目的として、本研究を計画しました。本研究を行うことで心不全の発症や重症化を予測することができれば、心不全の予防や治療法の開発に繋げることができ、また医療経済的な効果も期待されます。

3. 研究の対象者について

 全国の病院に心不全で入院されている患者さんで、通常診療の際に採血を必要とする方、5,000名を対象とさせていただく予定です。
 貧血等により、採血をすることで健康状態が悪化すると考えられる方は、この研究にご参加いただくことはできません。

4. 研究の方法について

 この研究への参加に同意いただきましたら、カルテより以下の情報を取得し、Electronic Data Capture(EDC)システム(電子的に情報を収集するシステム)に登録します。また、通常診療での採血20mlに追加して、研究用の血液を20ml余分に採血、退院前に研究用に尿を10ml採取し、匿名化後に九州大学へ送付します。採取した血液を用いて、Pentraxin 3、Galectin-3、sST2、GDF-15、IL-6、Cystatin C、BDNF等を、尿を用いて尿中ナトリウム、カリウム、クレアチン、微量アルブミン等を測定します。また、包括評価制度(DPC)による循環器疾患診療実態調査であるJROAD-DPCに登録されている患者さんのDPCデータを匿名化して各施設から九州大学へ収集します。これらの測定結果と取得した情報の関係性を分析し、心不全発症および重症化の予測因子を解明します。また、質問票によるアンケートを行います。なお、予後調査として、あなたの健康状態の確認のため電話にて問い合わせをすることがあります。

 
〔 取得する情報 〕
<EDCへ登録する情報>
基本情報
  • 施設名
  • 施設年間症例
  • 施設地域
  • 記入者
  • 記入日
  • DPC番号
  • 心不全患者としての適格性の判定
  • 入院日
  • 生年月日
  • 身長
  • 体重
  • 社会的因子
患者背景
  • 心不全入院歴
  • 基礎心疾患
  • 併存症・合併症
  • 治療歴(入院前)
入院後
  • 血圧、脈拍数
  • 身体所見
  • 重症度
  • 臨床検査データ
  • 画像データ
  • QOL(アンケート)
  • うつ
退院時
  • 重症度
  • 体重減少量、握力、疲労、歩行速度、活動度
  • 握力、歩行速度
  • 社会的因子
  • 臨床検査データ
  • COVID-19調査
退院後
  • 退院日
  • 治療経過
  • 再入院日、再入院の原因
  • 1年後調査 - アンケート(QOL)含む (研究スケジュール参照)、COVID-19調査
  • 2年後調査(研究スケジュール参照)、COVID-19調査
<DPCへ登録する情報>
  • 居住地郵便番号
  • 入院中検査
  • 入院中治療
  • 退院前および退院後薬物治療
  • 薬物療法等の医療内容、医療費
<検体>
  • 採血時に上乗せ検査:通常診療検査時の採血20mlに加え、研究用(新規バイオマーカー評価)に追加で20ml
  • 採尿:研究用に、退院前に尿10ml
<研究スケジュール>
項目入院時入院中退院前12ヶ月目24ヶ月目
基本情報    
患者情報
(併存症・合併症・治療歴、心疾患)
   
身体所見   
治療薬(内服薬)   
検査データ   
バイオバンク用 血液検体・尿検体     
心電図   
心エコー    
心臓カテーテル検査     
心臓MRI     
CPX     
PWV(脈波伝達速度)     
身体機能・認知機能・心理     
QOL(アンケート)    
COVID-19調査   
予後調査    
死亡に関する情報
(死亡日・死因・突然死等の発生状況)
   
心血管イベント    
血栓塞栓性イベント/出血性イベント    
心血管以外のイベント    
DPCデータ収集 (2回収集) 入院時データ:
2020年10月〜
退院後データ:
2022年10月〜
<九州大学への情報収集について>

 日本循環器学会循環器専門医研修施設・研修関連施設約100施設のデータを九州大学へ提供します。全国の日本循環器学会に所属する医療機関(100施設)で取得された研究対象者の情報を各施設にて匿名化し、九州大学から業務委託を受けているヒュービットジェノミクスが構築したEDC(Electronic Data Captureシステム:電子的に情報を収集するシステム)に入力し、九州大学で収集します。データ管理はヒュービットジェノミクスが行います。収集された情報に関しては別記しておりますように、個人情報の保護に配慮しております。全国の日本循環器学会に所属する医療機関(100施設)で取得された血液(20ml)と尿(10ml)は匿名化後に九州大学に送付します。九州大学にて収集されたデータの解析を行います。血液・尿は九州大学にて保管します。また、EDCデータの中央モニタリング・監査を実施します。

5. 研究に関する利益と予測される負担や不利益について

 あなたがこの研究に参加することにより直接受ける利益はありません。しかし、研究成果により将来の医療の進歩に貢献できる可能性があります。また、予測される負担や不利益は血液採取量が20ml、採尿量が10ml増えることと、質問紙を用いた質問を行うため入院中に30分、退院後外来にて30分、総計60分の診療時間の延長することです。これらによる医学的に身体へ影響を与えることは想定されません。

6. 健康被害が発生した場合の対応について

 この研究では、あなたに通常の治療に使用するお薬以外のお薬を使ったり、特別な医療機器による検査をしたりすることはありませんので、健康被害が発生することはないと考えられることから、特別な補償制度はありません。
 採血の際に研究のために採らせていただく血液の量も健康上問題のない量と考えておりますが、もし、採血の際にめまいがしたり、気分が悪くなったりした場合は、すぐに採血を中止し、担当医師が適切に対応いたします。

7. 経済的な負担や謝礼について

 あなたに通常の治療費以外に新たな負担を求めることはありません。
 また、あなたに謝礼をお渡しすることもありません。

8. 研究への参加とその撤回について

 この研究への参加はあなたの自由な意思で決めてください。同意されなくても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。
 また、いったん同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、いつでも同意を取り消すことができます。その場合は、研究用に採取した血液やその血液を調べた結果などは廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的に用いられることはありません。ただし、同意を取り消した時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄できないことがあります。

9. 個人情報の取扱いについて

 あなたの血液、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、各施設の個人情報管理者の責任のもと、厳重に管理保管いたします。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
 九州大学に収集された研究対象者の情報は、個人情報が消去された形で、電子的に登録され、研究事務局(九州大学)で管理保管いたします。本研究の対象者を特定できる情報が外部に送られることはございません。

10. 情報の保管等について

〔試料について〕

 この研究において得られたあなたの血液は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院循環器内科学分野において同分野教授・筒井 裕之の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

〔情報について〕

 この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、各施設の研究担当者の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。九州大学に収集された情報は、九州大学大学院医学研究院循環器内科学分野教授・筒井 裕之の責任の下、厳重な管理を行い、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 また、この研究で得られたあなたの試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、あなたの同意がいただけるならば、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を九州大学および解析担当施設の倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

11. この研究の費用について

 この研究に関する必要な費用は、厚労科研補助金難治性疾患政策研究事業研究費でまかなわれています。

12. 利益相反について

 本研究に関する必要な経費は厚労科研補助金難治性疾患政策研究事業研究費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

13. 研究に関する情報公開の方法について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。
 また、この研究に関する情報は、以下のホームページへ掲載しております。
 九州大学循環器内科ホームページ:https://www.cardiol.med.kyushu-u.ac.jp/

14. 特許権等について

 この研究の結果として、特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は九州大学及び共同研究機関等に属し、あなたには属しません。また、その特許権等を元にして経済的利益が生じる可能性がありますが、これについてもあなたに権利はありません。

15. 研究を中止する場合について

 研究責任者の判断により、研究を中止しなければならない何らかの事情が発生した場合には、この研究を中止する場合があります。なお、研究中止後もこの研究に関するお問い合わせ等には誠意をもって対応します。

16. 研究の実施体制について

 この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所(分野名等)

九州大学大学院医学研究院循環器内科学
九州大学病院循環器内科

研究責任者

九州大学大学院医学研究院循環器内科学 教授 筒井 裕之

研究分担者
  • 医学研究院循環器病病態治療講座 准教授 井手 友美
  • 九州大学病院循環器内科 助教 松島 将士
  • 九州大学大学院医学研究院循環器内科学 助教 肥後 太基
  • 九州大学大学院医学研究院 助教 橋本 亨
  • 九州大学病院循環器内科 医員 藤野 剛雄
  • 九州大学病院循環器内科 医員 甲木 雅人
  • 九州大学病院循環器内科 助教 坂本 隆史
  • 九州大学大学院医学研究院循環器内科学大学院博士課程 円山 信之
  • 九州大学病院次世代医療センター 医員 遠山 岳詩
  • 九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野 教授 二宮 利治
共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設
施設名/研究責任者の職名・氏名役割
(1) 順天堂大学循環器内科/准教授・末永祐哉情報・試料収集、DPCデータ収集および、解析
(2) 神戸医療センター中央市民病院/医長・北井豪
(3) 大阪大学/特任研究員・谷口達典
(4) 聖マリアンナ医科大学病院/顧問医・木田圭亮
(5) 名古屋大学/副センター長・奥村貴裕
(6) 国立循環器病センター/部長・宮本恵宏
(7) 全国の日本循環器学会に所属する医療機関(100施設)
業務委託先

企業名等:
ヒュービットジェノミクス株式会社
所在地:東京都中央区築地7丁目10番2号築地小川ビル3階

17. 相談窓口について

 この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

事務局(相談窓口)

〔TEL〕092-642-5360 (内線5360)〔FAX〕092-642-5854
〔e-mail〕shouji-m@cardiol.med.kyushu-u.ac.jp
担当者:九州大学病院循環器内科 助教 松島 将士

JROADHF-NEXT研究事務局
〔TEL〕03-5148-3990 〔FAX〕03-5148-3991
〔e-mail〕office@jroadhf-next.jp